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September , 2017
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ドクター林の健康トラの穴 第19回「胸椎骨折の恐怖も忘れるプロレスの魅力」

2014年1月14日(火)06時43分更新
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まだほかにも頸椎、脊椎の障害から立ち直った選手はいます。

静岡での試合中ウラカンラナにいこうと相手に両足から飛びついて身体をひねった瞬間、相手がパワーボムで叩きつけました。

身体を捻っていたため受け身をとることもできず捻ったままの姿勢でマットに叩きつけられました。その瞬間痛みよりも身体が全く動かなくなったそうです。

下半身の感覚が全くなくなり、なにがどうなったのかわからないまま病院に運ばれました。検査の結果二つの胸椎が骨折していたそうです。

しばらくは下半身が全く感覚もなく安静にしたまま数週間が過ぎました。

東京に戻って手術等の治療を受けたいと相談がありましたので受け入れ先を探して搬送する手配をしました。

この選手の場合は寝たきりの状態でしたので寝台車でしか移送できません。民間救急車を頼み静岡から東京まで運ぶことになりました。

付添いの選手が一人つき看護師さんも同乗しているからまあ安心ですが車の左右上下の揺れにはちょっと心配もしました。

なんとか無事に搬送して東京の脊髄専門の病院で手術を受けることができました。

術後は1週間くらいで退院して自宅で回復を待つことになりました。

頚椎損傷と違って骨折を治療すれば神経のダメージも少ないため麻痺もごく軽度でリハビリにもあまり時間がかからない状態でした。

ほどなく、と言っても半年くらいはかかりましたが普通に動けるようになりました。

もう2度とプロレスに復帰することはないだろう、いや2度とこんな怖い目には会いたくないと思って暮らしていました。

仕事も探し普通の人のように普通に働き普通に暮らそうと決め2年ほど続けていました。

ある日久しぶりに見に行ったプロレスの会場で流れてくる入場曲や歓声を聞いていたらあの日の自分が思い出されアドレナリンが湧き出てくるのを覚えたそうです。

それから誘われるままに練習を始め、再びリングに上がってしまいました。

怪我をしたことはすっかり忘れてしまい思い出しても遠い過去の怪我として他人事のように思え、いまはただ観衆の歓声のシャワーを心地よく身に浴びて再びプロレスラーとしてリングに立てる幸せを噛みしめて過ごしています。

胸椎を骨折しても再びプロレスができるまでに回復もするしその怖さも忘れるくらいの心の高まりを覚えるプロレスとはやったものでないとわからないかもしれませんね。

 

Dr.hayashi

 

 

 

 

 

本名 林 雅之

1949生

千葉市出身

秋田大学医学部卒業

現在 医療法人社団祐光会理事長 弘邦医院院長

内科医として地域医療に従事する傍らスポーツドクターとして

東京都テコンドー協会会長

新日本プロレス 全日本プロレス ゼロワンなど各プロレス団体のリングドクターを務めている

メディカルエンターテナーとして「笑いと健康」をテーマにライブ活動を各地で行っている

ED治療に関しては日本での第一人者であり「男力復活」に取り組んでいる。

 

著書 

ガンやリウマチに効果のある免疫療法(本の泉社)

  リングドクターが見たプロレスラーの秘密(三一書房)

  脳で感じるセックス入門(扶桑社)

  など20数冊

 

新聞連載

  日刊ゲンダイ(関西版) ドクター林の性の相談室