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September , 2017
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ドクター林の健康トラの穴 第20回「パイルドライバーを見ていると冷や冷やしてしまう・・・」

2014年1月21日(火)06時00分更新
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プロレスラーに怪我はつきものです。

特に頭や首を傷めることが多く致命的なけがにならないとも限りません。

どんなにトレーニングしても頭や首はそう鍛えられるところではありません。打ち所によっては命に関わります。練習中や試合中に死亡した例はだいたいが頭を打ったことによる急性硬膜下血腫という病気が一番多い原因です。

これは頭を打った衝撃で脳を包んでいる膜の下にある血管が切れ脳出血を起こすものです。それまで脳には何の異常がなくともその衝撃一発で起こるものです。

頭を打った直後に意識不明になっていびきをかきだず、これはもうその兆候です。すぐ病院に運んで開頭手術をして血の塊を掻き出さなければなりません。

早期に手術を行えば助かりますが時間が経って出血量が多くなると重くなった脳が呼吸を司る延髄という部分を圧迫して死亡します。

意識不明になっても一旦意識を回復してはっきりする期間があることがあります。「大丈夫、大丈夫」と言ってしばらくしてまた意識不明になる、だから意識が戻ったからと言って安心できるものではありません。

頭を強く打ったら意識があっても絶対安静にして少しでも異常が見られたらすぐ救急車、というのが医者の常識です。

いくら受け身をしっかりとっていると言っても取りきれない場合もあるし、パイルドライバーやその変形技を受けているとき私がどんなに冷や冷やして見ているか誰も知らないと思いますが・・・。

パンチやキックではそこまでダメージを受けることはありませんが脳震盪はしょっちゅうです。

試合後記憶がトンでしまっている選手がよくいます。試合をしたかどうか覚えてないのです。ここはどこなのか、今は何をしてるのかは分かるのですがちょっと前の記憶が無いのです。

認知症と同じように脳の海馬付近にダメージを受けるとそうなるのです。

他の競技であれば絶対安静にすると思うのですが、プロレスでは日常的なこととして軽く考えることが多いです。

実際翌日には記憶ももどりその後大事に至った例もありません。脳震盪はくせになることが多く長く意識障害を来すこともあります。決して軽く考える病気ではなくこれも絶対安静と言いたいのですが、プロレスラーは不思議です。

 

Dr.hayashi

 

 

 

 

 

本名 林 雅之

1949生

千葉市出身

秋田大学医学部卒業

現在 医療法人社団祐光会理事長 弘邦医院院長

内科医として地域医療に従事する傍らスポーツドクターとして

東京都テコンドー協会会長

新日本プロレス 全日本プロレス ゼロワンなど各プロレス団体のリングドクターを務めている

メディカルエンターテナーとして「笑いと健康」をテーマにライブ活動を各地で行っている

ED治療に関しては日本での第一人者であり「男力復活」に取り組んでいる。

 

著書 

ガンやリウマチに効果のある免疫療法(本の泉社)

  リングドクターが見たプロレスラーの秘密(三一書房)

  脳で感じるセックス入門(扶桑社)

  など20数冊

 

新聞連載

  日刊ゲンダイ(関西版) ドクター林の性の相談室