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May , 2017
Saturday


トロトロ卵が超絶品!本格そば屋のランチ親子丼~磨由子のグルメ散歩~

2014年10月4日(土)11時26分更新

 なんといっても、ランチの親子丼だ。その界隈の勤め人には、よく知られた名物ランチなのだ。麻布店でも虎ノ門店でもなく、私のなじみは裏路地にある小体な溜池店で、かつては親子丼目当てに行列ができた。今でも12時をまわると入店できない可能性は高く、遠方から足を運ぶ客もいると聞いたことがある。

 トロトロ卵の親子丼の走りだった「さ和長」の親子丼を初めて食べたのは、もうかれこれ15年くらいは前。衝撃的なおいしさにド肝を抜かれ、一時は夢中になった。本来はそば屋で、そばが見えないほど生のりの乗ったのりそばだとか、魅力的なメニューが他にもたくさんあるのに、いつまでたってもこの店は私にとって「親子丼屋」で、そういう客はほかにも少なくないだろう。

 私のやり方では、どんぶりが出てきたら間髪を入れずに蓋を取る。もちろん蒸らしすぎないためで、このタイミングが肝腎。小ぶりな鶏肉はしっかりと旨味があり、そればかりが散らばったたっぷりの卵とじには、白身に透き通った部分が多く残るが、ちゃんとほの温かい。実はココが私の好物で、卵の固まったところや甘い出汁、熱々のごはんと一緒にズルンと吸い込むように頬張る瞬間がハイライトだ。玉葱も三つ葉もないシンプルな構成。でも、実はその方が、親子ともどもより美味しさが際立つことを思い知らされる。日本料理店の系列店だから、きちんととられた出汁もまた旨い。

 ランチタイムは垣間見える厨房が戦場のように慌ただしく、どのテーブルにも次々とどんぶりが届く。長いつきあいながら、ずっとこれしか知らずに来た。たまにはそばのセットに、と思ったりもするけれど、店まで来ると、親子丼に徹したい気持ちが勝ってしまう。いつか他のメニューを注文する踏ん切りがついた時、私は一体いくつになっていて、どんな心境でそうするのだろうか。楽しみなような気もするし、なんだか怖いような気もする。

 ※お料理との出会いをより感動的にするため、写真はあえて載せません

港区赤坂1-4-8 03-3584-9968 東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅(P無) 「親子丼」 850円

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