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August , 2017
Wednesday


役にたたない英語おせーたる(137)〝デモリッションダービー〟

2016年7月30日(土)09時00分更新
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ポンコツ車をぶつけ合って破壊する豪快なイベントだ

ポンコツ車をぶつけ合って破壊する豪快なイベントだ

 生まれて初めてdemolition derby(デモリッションダービー)なるものを観戦してみた。近所でcounty fair(カウンティーフェア)があり、その呼び物の一つがdemolition derbyだったのだ。

 county fairは辞書には「郡共進会」とあるが、分かりやすく言えば、規模の大きな地域のお祭りのことだ。countyは「郡」だが、この中に市や町が含まれるので、state(州)の次に大きな行政区である。county fairはもともと農作物や家畜の品評会だったのが、いまや仮設の遊園地やサーカス、フードスタンドなどが入る大掛かりなお祭りとなっている。もちろん、countyによって規模は異なるが。

 私が暮らすcountyは一部都市化しているものの、かなりの部分が酪農地なのだろう。Country fairにはあらゆる種類のcow(乳牛)、steer(肉牛)、goat(ヤギ)、sheep(ヒツジ)、pig(ブタ)、chicken(ニワトリ)などが展示されていた。品評会やオークションも行われたのだと思う。

 話をdemolition derbyに戻す。demolitionは「破壊」、derbyは「競争」。何を壊すかというと、車、である。mud(泥)を敷いたarena(闘技場)で、車をぶつけ合って、最後まで残ったものが勝ちという、「うっわ~、アメリカやな~」という競技だ。

 参加者はそれぞれ、ポンコツ車をdemolition derby用に改造している。窓ガラスやライトなど、細かく壊れて危険なものは最初から付いていない。

 オープニングはlawnmower(芝刈り機)のdemolition derby。チューンナップしているものの、lawnmowerゆえ、それほど馬力がなく、mudにはまって動けなくなって脱落者が出るなど、コミカルなdemolition derbyだった。

 続く2戦は大型車をとんでもなく改造したポンコツの戦い。どれも強い車だからなかなかderbyが終わらず、退屈になって、去っていく観客もいた。

 クライマックスの2戦は普通車によるderby。普通車と言っても、もちろん、改造車だが。これが面白いのなんの。それまでの退屈な気分がぶっ飛んだ。14台がぶつかり合うので、ガツンガツン鳴りっぱなしの、エンジンうなりっぱなしの、脱落者は次々出るし、煙を噴き出す車や火が出る車が続出。火が出ると、消火作業が入るのでderbyは一時中断される。脱落しても、その一戦が終わるまでarenaの外に出られない。脱落した車のドライバーも車に乗ったまま待機である。

 derbyが終わった後の様子は、Mad Max(映画『マッドマックス』)をほうふつさせる。もちろん、勝者以外の車は壊れて動けないので、自力でarenaの外に出られない。でかいfork liftがすくい上げて外に出す。豪快というか、何というか…。

 パートナーは車が大好きで、パートナーの幼なじみMarco(マルコ)も車好き。demolition derby中、Marcoにtext(ケータイメール)していたパートナーが、”Ha ha ha, Marco says, ‘You are all red-necked up tonight.’”(ははは、マルコが、「お前ら、思いっきりレッドネックやん、今日」って言うてる)。

 red-neckとは、教養がなく、貧しい田舎育ちの白人を指す軽べつ的な言葉である。red neckは直訳すれば「赤い首」。無教育だから、就ける仕事といえば肉体労働。白人だから日に焼けて首が赤くなる。red neckである。名詞だが、Marcoは動詞として使っている。

 Marcoが指摘するように、demolition derbyは間違っても、上品な人たちが喜ぶ競技・・・ではない。

 続けてパートナーが、“I replied, ‘No, we are not but standing out.’”(「違うって、だから浮いてる」って返信しといた)だって。私がアジア人だから目立ってるだけでしょうに。

 私はというと、豪快なイベントを楽しむことができて大満足だった。