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December , 2017
Friday


役にたたない英語おせーたる(148)地ビールのスタンプラリー

2016年10月22日(土)09時00分更新
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 craft beer(クラフトビール=独立系小規模ビールメーカーによるビール。平たく言えば、地ビールである)が全米で大流行している。

 私が暮らす町にもいくつかmicrobreweries(地ビール醸造所)があり、そのうちの何軒かは行ったことがある。だいたいが、ダウンタウンの廃れた建物を改装して、microbreweryとtap room(ビールの試飲スペース)を併設している。レンガを露出させた壁や、コンクリートのカウンタートップ、インダストリアルな調度品など、rustic(シンプルで前時代的)な感じがいい。ま、これも、今流行の建築様式なんだけど。

 「新しいmicrobreweryを開拓しよう」ということで、ネットを検索したら、車で20分くらいのところに一軒あった。行ってみたら、Budweiser(バドワイザー)のどでかいビール工場のすぐそばの目立たない倉庫街の一角だった。

 私は5種類のflight(サンプル)をオーダーした。話は脱線するが、このflightとは「飛行」や「フライト」のflightとつづりは同じ。最初に「サンプル」の意味で使われているflightに遭遇したのは、ず~いぶん前、どこかにwine tasting(ワインテイスティング)に出かけたときだ。「Wine flightいくらいくら」なんて書いてある。当時、flightは「飛行」関連としか理解していなかったため、そのメニューを見て頭をひねった。が、もともと頭にないものは、何をしたって出てこない…。

 というわけで、辞書を引いてみると、「群れ」の意味もあるらしい。a flight of stairs(ひと続きの階段)とか、a flight of geese(ガチョウの群れ)とか。要は、似たような形のものの集まりのことをflightというようである。beer(ビール)やwine(ワイン)のサンプルも、同じグラスに入ってくるので、flightが当てられるようになったのだろう、と想像する。

 話を元に戻す。正直、そこのmicrobreweryのビールにはそれほど感動しなかったが、面白いものを発見した。スタンプラリー手帳だ。行った先々のmicrobreweryでスタンプを押してもらうというもの。いくつかスタンプがたまれば、特別なpint glass(パイントグラス、約500ミリリットルのグラス)がもらえるらしい。こりゃ楽しい! 

 その手帳には、スタンプラリーに参加しているmicrobreweriesが、「こんなにあったのか?!」と思うほど列記されている。これまで行ったことのあるmicrobreweriesも載っている。スタンプラリー手帳の存在を知っていたらスタンプがもらえたのに。”It’s no use crying over spilt milk.”(後悔先に立たず)とはこのことだ。

 気を取り直して、比較的近所の2軒に行ってみた。一軒目は、郊外のstrip mall(ショッピングセンター)の一角だった。小さな醸造スペースの前方に、6人掛けのカウンターと小さなテーブルが2卓あるだけ。地元の人らしき人たちが、店主と世間話をしながら、の~んびり飲んでいた。いいねえ、このローカルな感じ。聞けば、創業たったの1年だそう。home brewing(自家醸造)から始めて、あっという間に小さなbreweryを構えるまでになったのだとか。

 次に訪れたmicrobreweryは大学街にあり、古いレンガ造りの(恐らく)倉庫を改装した、天井が高くていまどきの内装なバーだった。バーの奥が醸造所になっている。一軒目と違ってぐっと商業化されていて、店の規模も大きいし、客も多ければ従業員も多い。カウンターでbeerをオーダーするとともに、”May I get a stamp on this?”(これにスタンプ押してくれる?)と言いながら、手帳を差し出すと、バーテンダーも”Sure!”(もちろん!)なんて、手慣れたもんだ。手帳を持って現れる人が結構いるのかもしれない。ここも、聞けば、たかだか2年ぐらいなのだそう。学生街の小洒落た飲み屋なら、客には困らないだろう。

 と、microbreweriesめぐりしながら自営業について考えてみた。あたしゃ、しょせん、しがないcorporate worker(会社勤め)さ。

これがスタンプ帳 試飲したら記載してある店でスタンプをポンと押してもらう

スタンプラリーに参加している店で試飲したらこの手帳にスタンプをポンと押してもらう