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April , 2017
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AV出演強要問題に切り込んだ書籍『モザイクの向こう側』 弱り目に祟り目の業界が復活する道は?<前編>

2016年11月1日(火)12時00分更新

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 今年に入ってから、AV出演強要問題が世間で話題となり、大手事務所の摘発や、キャンプ場で撮影された作品で関係者が書類送検されるなど、AV業界がにわかに騒がしくなっている。10月19日に発売された『モザイクの向こう側』(双葉社)は、こうした一連のAV騒動の裏側や、今、AV業界で何が起こっているのか、複数のAV関係者や、被害相談の窓口へのインタビューを重ねてルポした本だ。著者の井川楊枝氏にインタビューした。(前編)

 出演強要問題は学校のイジメのようなもの

 ──ヒューマンライツ・ナウ(HRN)が調査報告書を2016年3月に発表してから、AV出演の強要問題が世間で話題となりました。

 井川「報告書が発表されたとき、AV業界からは『時代遅れ』や『業界の実情とそぐわない』という反発が起こりました。私としても、この報告書はAVの負の部分が強調されすぎていると感じましたが、実際、自分もヤバい現場をじかに見たことがあったんで、諸手を挙げて業界を擁護できなかったんですね」

──井川さんが見たヤバい現場とは?

井川「2004年の7月、雑誌の編集プロダクションの社長に頼まれ、セカンドカメラマンでAVの現場に行ったんです。その社長は編プロの社長をやりながら、あるAVメーカーの取締役にもなっていたんです。でも、その現場がいわゆる騙し撮影だったんですね。女の子は撮影内容を知らされてなくて、彼女がNGにしていた撮影を無理やりやらされたんですよ。撮影中、女の子は泣き叫んでいました。それでも5人以上の男が束になって女の子を虐待し続けた。私はこんな現場にいたら逮捕されると思って逃げようとしたんですけど、他のスタッフから職務放棄するのかと怒られました。本当に異常な現場でした」 

──書籍でも書かれていた、あの鬼畜メーカーの撮影ですね。

井川「ええ。こういう現場はかなり特殊なんですけどね。AVの撮影現場の大半は、主役の女優に最大限の配慮が為されています。たとえ凌辱ものの作品であっても、カットがかかると、みんな和気あいあいとしていますよ。だから、他のAV関係者が『業界はクリーン』って主張するのは分からないでもないんですよ。業界人であっても、AV強要の現場って関わらない人は本当に関わらないですから」

──でも、一部では実際に存在しているものなんでしょうか?

井川「はい。今でもごくまれにトラブルとなった現場の話は聞きます。性行為をやるとすら思ってもいない女の子が現場に来てやらされちゃったとか、それは強姦だろうみたいなのとか。虐め男優の辻丸さんが、『AV出演強要問題は学校のイジメと似ている』と言っているんです。虐められっ子って40人学級の中だと、せいぜい1人なんですね。他の39人にとっては楽しい学園生活で、イジメなんか目に入らない。けど、その1人のいじめられっ子にとっては地獄の日々だと。辻丸さん自身、学生時代は虐められっ子だったというから、そういう業界の構図に気づかれたんだと思います」

 文・取材/渡辺則明(QBQ)=後編に続く