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December , 2017
Thursday


役にたたない英語おせーたる(153)「名誉回復」

2016年12月17日(土)09時00分更新
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 私のパートナーはときに子供じみていて、笑えるやら、あきれるやら。

 彼は軽いアレルギーを持っていることもあり、よくblow his nose(鼻をかむ)。いつもblow his noseできるように、常にシャツやズボンのポケットにtissue(ティッシュペーパー)を突っ込んでいる。

 困るのは洗濯のときである。tissueを取り出すのを忘れて、ほかの洗濯物と一緒にされていたら、私はそのまま洗濯機を回してしまう。洗濯が終わるころには、tissueが粉々になって、ほかの洗濯物にくっついてえらいことになる。

 通常は、洗濯物を出す前にきちんと確認してくれているようなので、こうした惨事になることはまれなのだが、人間だから失念することもある。先日がそうだった。洗濯が終わって洗濯機を開けたら、機内にtissueの残片が散乱していた。

 “You didn’t check your pockets, did you? I see tissue everywhere.”(ポケットをチェックしなかったでしょ。ティッシュが散らかってるやん)と責めたら、”I’m sorry. I’m pretty good at doing that, but I may not have done this time.”(ごめんね。チェックは欠かさないんだけど、今回はし忘れたのかも)。素直にあやまったから、許そう。

 数日後に洗濯をしたら、またしてもtissueが散乱しているではないか。

 ”You did it again!”(またやってくれたね!)と言ったところ、今回は自信があったのか、”Are you sure it’s me? I’m pretty sure that I checked all.”(本当に僕のせい?全部チェックしたのに)と自己弁護してきた。”I’m sure it’s not me because I don’t carry tissue around in my pockets.”(私はティッシュをポケットに突っ込んで持ち歩かへんから、絶対私じゃない)と反論したが、結論が出ないので、討論はここで打ち切りとなった。

 翌日、起き抜けにスウェットパンツを探しているので、”Your sweatpants are on the shelf in the closet.”(スウェットパンツはクロゼットの棚の上よ)と説明したら、”Did you wash them?”(洗濯した?)と聞いてきた。”I did.”(したわよ)と返事をしたら、”Ha ha! It’s your fault! I kept tissue in the pockets, but I didn’t put them in the laundry. You didn’t check the pockets.”(ハハ! 君のせいだ!ポケットにティッシュ入れっぱなしにしてたんだ。だけど、僕は洗濯には出してない。君がポケットを確認しなかったんだ)。

 ああ、脱ぎっぱなしになっていたので、特に何も考えずに洗濯してしまったんだった。そんなだから、洗濯の前にポケットを確認しなかった…。

 私が沈黙していると、誇らしげにスウェットパンツを履いた彼は、ガッツポーズをとりながら、”Vindication! Vindication!”(名誉回復!名誉回復!)と言ってバスルームに消えていった。”I was accused unjustly. But my innocence was proved!”(いわれのない濡れ衣を着せられたが、僕の無実が証明された!)とかなんとか言いながら、勝ち誇った笑いをあげている。 よっぽど自分のせいじゃなかったことが実証されて、うれしいようだ。まったく、子供っぽすぎて笑える。

 それから数日、ことあるごとに”Vindication! Vindication!”である。”Well, I have to make sure what ‘vindication’ means.”(あ、そだ、「名誉回復」の意味を確認しなきゃ)と言って、Alexa(音声認識人工知能スピーカー、アマゾンエコーのこと。詳しくは117話参照)に、”Alexa, what does ‘vindication’ mean?”(アレクサ、「名誉回復」の意味は?)と聞いて、私に聞こえるように意味を読み上げさせるのである。

 私は言い返すこともできず、ほぞを噛むのみ。早くこの波が去ってくれますように…。