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December , 2017
Friday


役にたたない英語おせーたる(187)ハリケーン

2017年9月16日(土)09時00分更新
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 ここ数週間の間に、米国南部は巨大なhurricane(ハリケーン)に連続して見舞われた。一つがTexas(テキサス)を襲ったHarvey(ハービー)、もう一つはFlorida(フロリダ)を襲ったIrma(アーマ)だ。

 日本なら台風は1号、2号と番号で呼ばれるが、米国でhurricaneは発生順からアルファベット順に人名が付けられる。例えば、その年のhurricane第1号はArlene(アーリーン)、第2号はBret(ブレット)といった具合だ。Harveyは今年8つめのhurricane、Irmaは9つめということになる。

 これ、アルファベット順ならどんな名前でもいいのかというとそうではなく、使える名前は決まっていて一覧になっている。アルファベットは26文字あるが、一覧にある名前は21文字。Q、U、X、Y、Zで始まる名前がないからだ。一覧は6パターンあって、6年で一巡する。万が一、21以上のhurricaneが発生した場合は、Alpha(アルファ)、Beta(ベータ)、Gamma(ガンマ)うんぬんとギリシャ文字があてられるようだ。

 と、能書きが長くなってしまった。

 Harveyでは何万軒もの家屋が破壊浸水し、何百万もの人が避難を余儀なくされ、死亡者も出た。IrmaはFloridaでの被害は最悪の事態を逃れたものの、Caribbean islands(カリブ海の島々)はひどかったようだ。

 災害報道をネットワーク系テレビやラジオで視聴したが、まったく意味のない内容で閉口した。レインジャケットを着て暴風雨の中のレポート、これはお決まり。「風がこんなに吹いてま~す、波がこんなに高いで~す」。なんじゃ、そのレポート。

 そんなちゃらけたニュース報道にうんざりしていたところに、BBC World News(BBCワールドニュース)を見て、「そうそう、こういう情報が必要なんだよ!」とひとりごちた。BBC World Newsはイギリスの国営放送BBC(英国放送協会)のワールドサービスで、こちらではケーブルで視聴できる。

 私が見たときはmeteorologist(気象学者)がhurricaneの仕組みを説明していた。アフリカ大陸沖で蒸発した水分が雲を形成し、風と共に大西洋を横断する間にさらに水分を吸収し、勢いを増して嵐となる。clime change(気象変動)で海水の温度が上がっているので、蒸発する水分が多く、雲が大きくなる。つまり、それだけ降雨量が増える。これまたclimate changeのためにsea level(海面)が高くなっているので、被害が大きくなる、というものだった。

 米国ではclimate changeという言葉はまったく聞かれない。大統領が大手を振ってParis Agreement(パリ協定)から離脱するってくらいの国だし、energy industry(エネルギー産業)がとんでもなく力を持っているので、energy industryから莫大な献金を受けている政府も、energy industryが主要広告主のテレビ局も何も言えないのである。唯一、独立系のニュースプログラムが細々と環境系のニュースを報道しているくらいだ。

 こんなだから、hurricaneの規模や被害の大きさばかりが強調されて(視覚的にインパクトがあるのでなおさら)、被害の根本の原因が説明されないのである。

 Texasはoil refinery(石油精製)やchemical production(化学製品製造)が盛んな州で、工場もたくさんあり、今回のhurricaneでも被害を受けた。toxic chemicals(有害化学物質)が大量に放出されたようだが、これも大手ニュースではまったく報道されなかった。

 今回の立て続けの災害で、環境とジャーナリズムについて改めて考えさせられた。当面は、被災地の早期復興を祈るばかりだ。